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銀魂(土方受)二次創作中心に小説。BL・流血表現等あり。嫌悪感を抱かれる方にはUターンがお勧め。
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(銀←土)

山崎と土方さんのなごやか晩酌シーン。

そして続きます。山崎はもう出てこないかもわからないけど。


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あ。

「山崎…、今日が昨日になった。」
 

                                                      遠距離恋愛
 

「あぁ、そうですか。」

うん、ついさっきと言って副長はまた猪口に口をつけた。

最近こうして、二人で酒を飲むことが増えている。

正確には酒を飲んでいる副長を俺が眺めているだけなのだけど。

副長の部屋の障子を引いて。

時には月を眺めたりして。

なんだかゆっくり時間が流れているような気がして。

次の朝がつらいのはわかってるんだけど、ちょっと楽しみでもある。

楽しみでもあるが心配でもある。

ストレス溜まってんのかなーとか、寝不足なんじゃないかなーとか、いろいろ考えちゃう。

「副長、明日も仕事でしょう?」

「あぁ…。」

「まだ飲んでていいんですか。」

うんと答える。

「そうですか。」

「うん。」

からの猪口が突きだされる。

「はいはい、つぎますよー。」

とくとく。副長はもう、頬を赤く染めている。あいかわらず弱い。

「ねぇ、副長。」

「あ?」

「なんか悩み事でもあるんですか。」

前までは、こんなこと滅多にありませんでしたよね?

さりげなく、さりげなくと思いながら聞いてみる。

「悩み事?」

「悩み事に限らず、ですけど。気になってる事とか。なんか嫌な事とか。」

「別に。」

と副長が、猪口をおいた。そしてにへらと笑った。

「悩み事なんかねぇよ。ただ一人で居るとダメなんだ。」

にへら。

「え、いや、っちょ。そんな風に笑わないで下さいよ似合わない!」

「笑ってるか?」

「笑ってますよがっつり!」

そうか、と言った時にはいつもの仏頂面だった。

「そ…、それで?ダメって何がダメなんですか。」

「なんかな…、最近な、一人で居ると声が聞こえてくんだよ…。」

「え…それってもしかして…。」

「聞き覚えのない声なんだ。屯所の奴じゃァねぇんだよ、あきらかに。」

これはちょっと怪しい雲行きになってきた。

副長は少し俯いて話している。やばい。ゾクゾクしてきた。

「侵入者かと思って障子を開けても誰もいねぇ…。」

「え、なんでそんな急に怪談とか…やめません?もう、やめにしません?」

「お前が言いだしたんだろ、まぁ、聞け。」

怪談しとろは言ってねぇよ、と思ったが俺は何も言わない。怪談より怖いものが世の中にはいっぱいあるから。

「しかたなく俺はまた一人で部屋の真ん中に座り込むわけだ。」

「はぁ。」

「そうしてまた声が言う。」

うらめしやああああああああああぁぁぁぁぁ!!

「ぎゃあああああぁぁぁあぁぁああぁあ!!」

こわいこわいこわいこわいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこわいよ!

「はっはっはっはっ!!」

耳ふさいで膝抱え込んでふるえていても、副長の笑い声が聞こえた。

「冗談だよ。」

「じょ…っ。」

いやわかってた、わかってましたよそんなことは。

「だって、そんなことあるはずないじゃないですか。」

「そう思うか?」

「……え?」

副長は、さっきとは違う、性質の悪い笑顔で言う。

「そう思うか?」

声が言うんだ。

「気付いてねぇのか?お前はあいつが、お前をアイツは。」

「あいつ…?」

「白髪のあいつ。」

あ、また。

あ、またにへらって笑った。似あわない笑い方。

「白髪のあいつ。好きなの、俺。きっと好きなの、多分。」

あいつも俺の事、きっと好き、好きなんだって。俺の事。声が言ったんだ。

白髪の、って…。

「万事屋の旦那が?…ってか万事屋の旦那を?」

あんたが?

「それってどんな…意味合いで。」

「あー…、セックスする?的な?意味合いで?」

やだ!生々しい!!副長が言うとすごい生々しい!!

「声が…。」

「声が。」

「勝手に声が?」

「うん。聞こえて。俺はそれを信じてしまっている。あらまぁ。」

あらまぁってあんた。

「どうなんだろうなぁ、やっぱり霊的なアレなんだろうか。」

「霊的なアレって霊しかいませんよ。」

「そこはあれ、ぼかせよ。…別に怖いとかそういうんじゃないけど。」

一人だとダメだとか言っときながら、怖くはないとかどうなん、と思ったがこれも心の中だけで。

そもそもその話に信憑性はあるのか。

「なくね?」

「んー、やっぱりそう思うか。」

だよなぁ…と副長は言って、自分で酒を注ぎたした。

「まだ飲むんですか。」

「もうちょい。」

「そうですか。」

仕方ないので俺も酒を足す。

それをぼんやり見つめながら、副長はでもよぅ…と続けた。

「否定しきれない俺が居る。」

「えっ!?心当たりがあるんですか、旦那に好かれてるっていう?」

「そっちじゃねぇ。あいつのことが好きだって、こと。」

あぁ、そっちか。

「いやぁ、鬼の副長にもそんな感情が…ねぇ。」

やっぱ似あわねぇな。

「馬鹿にすんじゃねぇよ、山崎のくせに。」

「はいはい。」

まぁ、この恋が実ることは無いだろうなと立ち上がる副長を見ながら思った。

悪いけど、旦那の副長に気があるそぶりとか見たこと無いし、男だし。どっちも。

「そもそもそれってほんとに恋心なんですかぁ…?」

「あん?何か言ったか。」

「いいえぇ。」

酔いで潤んだ瞳が睨みつけてくるのをはぐらかしながら、よろける副長を支えてやる。

もちろん庭の影の茶色い頭になんて気付かなかった。
 


・・・





つづく





・・・




山崎はどうなんだろう、おばけとか怖がらなそうだなァ。



 
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