銀魂(土方受)二次創作中心に小説。BL・流血表現等あり。嫌悪感を抱かれる方にはUターンがお勧め。
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雲ひとつない青空の下。
その屋上に土方は煙草を吸いながら、居た。
かたわらで、坂田が小さくいびきをかいている。
土方は、坂田の少し開いた唇をだらしねぇと思いながら見ていた。
夏の生暖かい風が吹きわたる。
青春ボーイズ。
新学期も始まって早、3,4カ月。
まぁまぁ時の経つのは速ぇじゃねぇの、というわけで土方は短くなった煙草を灰皿に押し付ける。
遠くでチャイム。
キーンコーンカーン。
しかし坂田が起きる気配も無いので、土方も腰をあげることはしなかった。
膝を抱える。
風に揺れる銀髪ふわふわ。
一筋一筋が時々きらめくきらきら。
結局ずっと見てても飽きない訳で、目を離せないのもその所為だって。
思っていたい。
んだけどなぁ……。
「無理だろ。」
ぼそっと呟いたそれは引き寄せた膝に吸い込まれて消えた。
目をつむれば煙草の匂い。
すっと鼻の奥にぬけていく。
溜め息、フ―。
初めて会ったのは入学式。
天然銀パは嫌でも目について、まぶたに焼き付いて離れなかった。
離れないまま、今までずっと。
今までずっと、離れずに土方の頭の中でぴよぴよ跳ねて、神経の奥を逆なでしてきた。
そしてきっと。
これからも、そうやってぴよぴよ居座り続けるんだろうなァ。
銀髪のふわふわをぼんやり見ながら考える。
好きなんだろうよ、きっと。
この馬鹿でアホなノンケの同級生が。
なんでだろう。
いっつも、会えば良い合いだ殴り合いだ殺し合いだなんだかんだ。
きっかけなんてどこにもねぇって。
そんなん当の本人がよく一番わかってる。
きっかけなんていらねぇって、そういうことなんだろうか。
ちょっと迷って、また煙草を取り出す。
火をつけて、風に流される煙。
行き先の無いまま、帰ってくることもできない。
まるで何かみたいだ。
何かって何だろう、あれだそれだ。
俺が見ないようにしてるもんだ、って待て。
別に見ない振りしてるもんなんざねぇだろ俺ぁ別にそんなちゃんと向き合ってるだろうが。
なに考えてんだ。
え、向き合ってる?
向き合ってるよな、だって俺こんなに悩んでるもんな。
あ、まてなんでそんな。
何で俺こいつの事でこんな悩んでる訳。
「やだ、なんか負けた気する。」
なんでそんな俺だけ。
煙草の先端、灰が落ちる。
落ちた灰、ふよふよ流れて。
「あ、ついた。」
銀色の前髪の下、まつ毛につきそうな所に。
ふわりここは俺の居場所だと言わんばかりで土方を見上げてせせら笑った、様な気がした。
土方は、それに向かってそっと、そうっと手を伸ばす。
銀髪に、触れないようにそっと。
ゆっくりゆっくり伸ばした。
坂田が身じろぎするまでの間。
「…………っ。」
思わず。
思わず手を引いた。
ひらり浮き上がる灰色。
にやけ面のまま土方の目の前をかすめ過ぎる。
坂田が起き上がる気配はなかった。
「……くそっ。」
かみしめる煙草が苦い。
引いてしまった手のひらを見つめる。
くぅーーっ、なんだ俺。
何なんだ俺。
頬に血が昇ってきてかっか熱いかんじで屋上の風を冷たく感じる。
どうしようもないもやもやが身体の中を駆け巡って、今にも口から溢れそうだ。
溢れたその瞬間、俺はどうなるんだろう。
「……女々しい。」
なんて女々しい俺。
手ぇ伸ばして引っ掴んで、それで終わりだってのにそれができねぇ俺。
ちっさい灰の方がずっと勇気ある。
笑われたって仕方ねぇ。
ぐっと膝に顔をうずめる。
かっか熱い頬。
体中を駆け巡ってもやもや、溢れようとするもやもや。
もう、俺。
もう俺ちょっと、どうにかなりそう。
どうしたらいいかなんてわかんねぇんだ、なぁ。
「ぎんとき……。」
本人を銀時なんて呼んだ事はもちろん、ない。
坂田は薄眼を開けて、そんな土方を見ていた。
“ ぎんとき ”と、拾った音でこそばゆい耳。
かっか熱い頬と、体中を巡るもやもや。
きっとお互い、溢れようとしている気持ちは同じなのだろうけど。
あああああああぁぁ!!
なんて青春!
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