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銀魂(土方受)二次創作中心に小説。BL・流血表現等あり。嫌悪感を抱かれる方にはUターンがお勧め。
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(銀土気味)

一日早いですが土方さん誕生日おめでとう!

バースデイ土方さんの一日です。


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どたどたどたと、大げさな足音が近づいてくる。スパンと開く襖。

「トシーー!!起きて朝だよーー!!!」

それは土方の部屋だったのだが、なぜかそこに居たのは山崎一人。

「あれ?トシは。」

首をかしげる近藤。

「副長ならもう、朝稽古だと思いますよ。」

「えーーっ!!?」

大股で山崎に歩み寄りその肩を掴んで揺さぶる。

「なんで、アイツ今日休みじゃん。俺が休みにしといたのに!なんでこんな朝早くから?」

がっくがっく。

「ちょ、ま、局ちょっ、べろ。べろ噛む!死、ぬぐっ。」

「あ。」

かるく昇天しかけた山崎から急に手を放す。

「もしかして俺が勝手に非番にしたから怒ってるのかなぁ、トシ。」

「……。」

「なぁ、山崎ィ?」

「お、俺にはわかりませんよそんなこと。」

うーん、と腕を組む近藤。

「たしかに無断でやったのは悪いけどまぁ、休み貰って怒るこたぁねぇよなぁ。」

それに俺、この日くらいはアイツを休ませてやりてぇんだよ。

 

                         だってアイツ今日、誕生日じゃん

 

毎年この日、近藤さんは俺に必ず休みをくれる。

連休中の、市中廻りも大変な時期だってのに何も言われないまま、知らないうちに休みになっている。

大規模な捕り物の後だろうが、犯行予告のあった後だろうが関係なく。

さすがにそういう時は近藤さんがなんと言おうと出て行くが(当たり前だ)、そもそもこの人手がいる時に俺を休ませようってこと自体間違ってる。

しかし特に今日みたいに取り立ててやることも無いときはつらい。

俺だって休みがいらねぇ訳じゃねぇが、この日だけは別。

非番といえど屯所住まいだから、何処へ行くにしても誰かとすれ違う。

その度に『誕生日おめでとうございます副長!』だの『また歳とりましたね!』だの『いい加減引退しろよ土方』だの言われ、外に出ても『オイ税金ドロボー幸せ分けろ』だの『お誕生日だってぷっぷぷぷー』だのなじられそう状況は変わらない。

かといって部屋にこもれば幹部連中が入れ替わり立ち替わりで居心地の悪いことこの上ない。誕生日の為にわざわざ休み取ってるだ思われるのも気分悪いし。

一番いやなのはこうして誕生日だけの反応ってのがあることだ。

なんか…こそばゆい。

日課をこなそうとこうして道場に来ても『誕生日なのに怪我でもしたらどうするんですか』とか(お前相手に怪我なんざしねぇよ)『誕生日パワー全開の副長に打ち込む勇気なんてありませんよ』とか(なんだよ誕生日パワーってそもそも普段だって打ちこめたためしがねぇじゃねぇか)で誰も相手にしてくれねーし。

拗ねてる訳じゃねぇが気に食わない。

気に食わないからって無理やり打ち合ってみても気は晴れねーし。

相手からも文句言われるし。(いわく『副長ひどい!』『こっちは手加減してたのに!』『副長が誕生日だからわざと負けてやったんですよ!』…おいおいそれはねぇだろ)

結局いつものながれで屯所に居るのがいやになってくる。

「はぁ…。」

中途半端に汗かいて気持ち悪い。

とりあえず水をかぶってふきふき、部屋に戻る。

「あ、副長。」

と、そこには当たり前の様な顔をして山崎がいる。

「おかえりなさい。」

机の上には一列にマヨネーズが数本、並べられていた。

「おい、どうしたんだそれ。」

「あぁこれですか?隊士のみなさんが副長に渡してくれっておいて行ったんですよ。」

これが誰誰さんから、と説明されるのを適当に聞き流しながら道着を脱ぐ。

「山崎、着流し取って。そこにかかってるやつ。」

「あ、はい。」

「……ん、さんきゅ。」

この着物は前の前の誕生日に山崎がくれたものだったりする。

「そういえばさっき局長が副長の事探してましたよ。」

「へぇ、会わなかったけどな。」

「そうですか、行き違いになっちゃったんですかね?」

近藤さんの無邪気な笑顔が思い浮かぶ。

「今年もちゃーんと休みになってましたね。」

山崎が、俺の脱ぎ棄てた道着をたたみながら言う。

「こういうことだけは忘れないんですよね。」

俺はそうだなそのとおりだなと思いながら何も言わず帯を結んだ。

「俺ちょっと外出てくる。」

「はぁ。どこ行くのか聞いてもいいですか?」

「別に。風呂。」

そうですか、マヨ冷蔵庫に入れときますね。

「うん。」

「行ってらっしゃい。お気をつけて。」

うん。

結局こうして毎年俺の動きはそう変わらない。

何が起きるのかは大体わかってるし、それを外れるような事はそうそう起きないし。

 

「……万事屋。」

「あ、土方。偶然だな。」

行きつけの銭湯ののれんをくぐると、坂田が居た。

白い着流しだけを脱いで床にあぐらをかいていた。これはもう偶然とは言わないんじゃないか?

明らかに誰かを待ってた風情…っつーかコイツ初めて会った時から毎年この日はここに居る気がするぞ。

「はぁ……。」

「お、溜め息か何、疲れてんの?」

こんなトコ来てるくらいだから今日は休みなんだろって黒い服脱ぎながら言う。

わざとらしい。

「お前が毎年ここに居るから呆れてんだよ。」

「えー。」

でも土方それはさ、と言いながら腰にタオルを巻いている。

「お前も毎年ここに来てないとわかんないよな?」

「は。」

「俺がここに居るってわかってて、毎年いそいそ来てんだここに?」

「や、別にそんな、」

それってさ、お前さ。

「誕生日に俺に会いたいって思ってるってことじゃねぇの。」

「なっ、なんでそうなんだよ!」

洗い場に続く引き戸を開けている白い後頭部をかるく殴ってみる。

「あだっ。」

「なぁ、万事屋?」「うん?」

転がりこんでった坂田に続いて洗い場に入る。

「お前さ、俺がこうやってここに来なかったらどうすんの。」

あぁ、と坂田が言った。

「そんなこと?当たり前じゃん、屯所行くよ。」

「……。」

「幕臣っつったら誕生パーチーも豪勢なもんだろ。万事屋総出で行くよ。せっかくの誕生日だからな。」

一年に一回しかない、特別な日だろ。

「ふ、ふーん…。まぁ、そんなこったろうと思ったぜ。」

なんだか全身がかゆい。

 

帰り際に新聞紙でできたかぶとをもらった。

風呂屋の湿気の所為か、少ししめっていた。誕生日プレゼントのつもりか。

「いらねーよ。」

と言いながらそれを捨てられない俺が居る。

帰り道のそこかしこには、鯉のぼりが揺れている。

手に持ったのと似たようなかぶとを被った子供が道の端をかけて行く。

ふと気づいて煙草を消すと、真っ青な空がひしひしと感じられた。

あぁ。

またひとつ、歳を取ろうとしている。

 

「トおおおぉぉシいいいぃぃいいい!!」「うおっ。」

屯所の門をくぐったとたん、何かに体当たりされた。

どこの肉食獣かと思ったら近藤さんだった。待ってたよ、と叫ぶゴリラ。もう酒がはいっている。

「近藤さん、遅番の奴らも居るんだからあんまり騒がないでやってくれよ。」

その背中をそっと押しながら広間に向かった。

もう中からにぎやかな物音が漏れ出ている襖。これが本日のメインイベントにして最大の頭痛の種だ。

「副長が来たぞおおぉぉぉおお!!」

「うおおおおぉぉぉおおお!!」

まだ日も沈まないうちからこのテンション。

「んでもうこんな酒くせぇんだよ…。」

まぁまぁ副長、ささこちらへどうぞとどこからともなく現れた山崎に上座に据えられる。

「あれ、副長その新聞どうしたんですか。」

「あぁ、これか。」

道中ずっとひらひら手に持っていた所為で貰ったときよりしわが増えているのを、膝に置いて伸ばしてみる。

「もらった。」

「へぇ、誕生日プレゼントですか?」

「……そうなのかな、やっぱり?」

アイツが俺に誕生日プレゼント…似あわないだろ、やっぱり。

「まぁ、相手が副長の誕生日知らないってんなら話は別ですけど…ほら、隊士の中にも今日の為にいろいろ用意してる人多いですよ。」

「マヨ。」

「はは、副長はそうですね。」

「あぁ、こんなん貰ったってしかたねぇよ。」

「でもなんか嬉しそうじゃないですか。」

杯に並々、酒が注がれる。

そこに映る自分の顔を覗き込む。嬉しそうか…?この顔。

「なんだかんだこうして宴会にも顔出してますし、まさか局長の命令だからってだけじゃないでしょ。」

言われて近藤さんを探すと、もうほとんど全裸だった。

「嬉しいでしょ、気持ちは。」

生まれてきたの祝われて、嬉しくない人なんて居ませんよ。

「……あぁ。」

まぁ、たしかにそうだな。

山崎のしたり顔が鼻につくと言えばそうだが、よく考えるとしみじみ嬉しいような気分になってきた。

「飲むための口実になるならなんでもいいんでさァ。調子のんなよ土方コノヤロー。」

「あんだと、コラ。」

かたん、杯を置いて立ち上がる。ふと迫る、実感。

あぁ、またひとつ。歳を取ったんだな。




・・・

始めて書く土誕小説です。とにかくべたなのが書きたかったんですがいつにも増して酷い文章です…。うまくまとまらず、長さもいつもの1.5倍くらいありますし…。

こんな駄文に長々とお付き合いありがとうございました。

こんな私ですが土方さんへの愛は溢れんばかりにございます!(もちろん銀さんや山崎、っつーか銀魂が好きだ!)

拙い文章ですが、これからも小説という形でこの愛を表していきたいなと思っております。


 
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