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銀魂(土方受)二次創作中心に小説。BL・流血表現等あり。嫌悪感を抱かれる方にはUターンがお勧め。
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(銀土)

いちよう最終話です。

お付き合いありがとうございました!!


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土方が襖を閉めた。

 

                       0距離恋愛

 

「万事屋、話って何だ。」

襖ごしの逆光に振り返った土方は、ちょっと首をかしげた。

そんな仕草もいちいちツボに入ってくるもんだから性質が悪い。

這い昇って来た衝動をやり過ごす。

「話があるのはお前の方じゃねぇのか、土方。」

「……。」

土方は黙って俺の向いに腰を下ろすと、言った。

んだよ、俺を呼び止める為の方便かぃ、ありゃぁ。

「まぁたしかに、話がねぇわけじゃぁねぇけど、な。」

「はっきり言っちまえばいいのに。」

俺には全部お見通しなんだから、と俺は笑う。

「お見通し、ねぇ。」

しゅぼっ、煙草に火をつける。

「じゃぁ、俺の話したいこともわかってるんじゃねぇの?」

「…でもこればっかりは自分の口から言って欲しいじゃない。」

そっと笑みを引っ込める。

「なんのために俺がお前の誘い受けたと思ってんの。」

「はぁ?」

土方はふぅっと煙を吐きながら怪訝そうに俺を見上げた。

「雨漏りの原因は沖田君だよ。」

「だろうな。」

「けしかけたのはお前だろ。」

上目に土方の表情を窺って続ける。

部下に恋愛相談なんざらしくもねぇ、っつーか通り越して吐き気がするわ。

「お前、沖田君の盗み聞き、知ってたんだろ。」

「……。」

へぇ。

土方はくいと口角を上げて言った。やっぱり気付いたか。

「そうだ。俺は沖田君の盗み聞き、知ってたんだよ。」

あいつがあんなネタ掴んで黙ってる訳ねぇって、きっとお前のトコに行くって。

「思って待ってた。お前を。」

「なんで?」

なんで?

「俺自身に決着をつける為だよ。」

と笑顔の一瞬後、舌打ちして毒づいた。くそっ。

俺は斜めにそれを見ていた。決着だと?と思っていた。

「お前一人で決着?」

ぼそり言うと、険を含んだ視線を向けられた。

「なんか文句あんのか。」

当然。

「俺とは決着つけなくていいわけ。」

「は?」

「俺の事も考えろって言ってんの。」

あんな話を人づてに聞いてなぁ、俺がどんだけ動揺したと思ってんの。

「何言ってんだ。」

と土方は言った。

お前の事考えろって、考えるまでもねぇじゃねぇか。

「びびっただろ。それとも笑ったか。どちらにせよ良い気分じゃなかった。」

そうだろ。

俺がお前にした事、お前が俺にした事、走馬灯みてぇに思い浮かべたかもしれねぇな。

あの時こいつはこう思ったんじゃねぇか。

この時はもうそんな風に思われてたのか?って疑心暗鬼さ。

「ちがうか。」

「…ぜんっぜん、ちがうね。」

更に刺を増した瞳に睨みつけられる。

「何がちがう。」

「前提からしてまちがってるんだよ。」

「前提だと?」

お前、ほんと俺の気持ち考えてねぇんだもんなぁ。

「だから、それは考えるまでもねぇって…。」

「ちがくて!!俺はお前のことが好きなの!ずっとずっと愛しちゃってるの!!」

「……はぁ?」

土方は、ぽっかーんと口を開けたまま、固まった。

「ふざけてんのか?」

「いや、大真面目ですけども。」

なんだかいたたまれない気分。

手持無沙汰な右手で畳の目を辿ってみる。もう、言っちゃうけどさぁ。

「お前も、俺の事好きなんだろ?」

だからこんなまわりくどい真似して俺のこと呼んだんだろ?

ちがうか、俺が呼ばれてくるかどうか知りたかったのか?

「…お、俺は。」

じっと、注がれる視線から逃れるように俯いて土方は。

「早く、けりつけちまいたかったから。こんな、気持ちわりぃ感情もてあまして。」

ってこんなこと話してる時点で十分きもいんだが。

「もてあましてるのには耐えられねぇと思ったから。」

少し上ずった声で言った。

それから視線そらして俺は、指の先の畳の繊維を見た。

ていうことは。

「それってやっぱり、俺の気持ちは無視したって事だよね。」

「……。」

畳のささくれから目を離す。

「俺のことより、自分の決着を優先したってことだよね?」

「…それは…。」

「ねぇ、それってさ。」

ずいと土方の瞳を覗き込んで言う。

俺に甘えてくれてるって事?

「はぁ?」

それまで悲壮な色を浮かべていた表情は、一気に歪んだ。

俺はそれをちょっと笑った。

「だからお前、これが例えばゴリラ相手だったらどうだ。」

お前はさ、アイツがどんな風に思うか、それからどうすればいいのか、色々ずーっと考えてきっと結局。

「何にも言わずにおくよ。」

押し殺してきっと、三途の手土産さ。

「そう思わない?」

「……。」

薄墨色の瞳がゆらゆら揺れた。

「そうかもしれない、確かに。」

「うん、素直でよろしい。」

じゃぁ、これが俺への無意識の甘えだってことも、わかった?

「…なんか悔しいが、否定しきれねぇのは確かだな。」

仏頂面で頷く。

思わず頬がゆるむ。

「へへ、でも俺嬉しいのよ。お前がこうして俺を特別扱いすんの。」

「意識してやってる訳じゃねー。」

「だから、余計に嬉しいんだって!」

「…きもい。」

ちょっと唇を突き出て、ぽつり言う。

その手を取って、俺の首に触れさせた。

土方はされるがまま俺の首筋に、その下の血管に指をあてていた。

「脈、早くなってんのわかる?」

お前のせいだよ。

耳元でささやいてみる。

「きもいっつーの。」

わざとらしいし、と吐き捨てるように言われる。

「えー、そう?一生懸命考えた口説き文句。」

-30点、と言うと土方は、そろり俺の手を除けた。

すっと目を細める。

「俺だったらもっとこう…自然に…。」

自然に下りていく瞼。

土方に引き寄せられるまま、唇を合わせる。

「……土方。」

それを引きはがして。

「愛してる、よ。」

今度は自分から口づけた。

 

 

・・・

 

 

おわり(?)

 

 

・・・

 

 

「お前、沖田君になんて言われてそこでカメラまわしてるのか知らないけど、そのテープ持って帰るってなら俺、もっとすげぇことお前に出来る自信あるよ。」

「…そう言われてテープ渡してのこのこ帰って来たってわけかィ、山崎。」

「ちょ、バズーカは勘弁して下さい!副長じゃないんで!死にます俺!!」

「……ッチ、あんだァそれじゃ俺はご親切に恋のキューピット務めてやってただけじゃねぇか。」

「…まんざらでもなさそうですね。」

「……。」

「いや、まじで!まじでバズーカは勘弁!!」

 

 

・・・

 

 

あとがき。

ここまでお付き合いありがとうございました!!

この二人のまわりくどさをなんとか表現したい、というわけでこれだけの長さになったのですが、あまり活きていない気もします。

かきたかったものは

・案外したたかな土方さん

・その上をいってしたたかな銀さん

・二人に巻き込まれる外野の皆さん

でした。

なんか、すみません(-_-;)

しかしこの二人は、こっからの道のりがまた長そうな気もします…。

なにかありましたら拍手、コメントからお願いします!

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