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銀魂(土方受)二次創作中心に小説。BL・流血表現等あり。嫌悪感を抱かれる方にはUターンがお勧め。
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(銀・高・土(高土))

久しぶりの更新……。

今回は土方と高杉の馴れ初めです。




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「……。」

「……。」

 

                          The Intersection

 

高二の冬、初めて土方は高杉に会った。

灰色の屋上。天気予報では雪が降るという。

「寒ぃ……。」

校内中をさすらって、やっと辿りついた安息の地だったのだが。

土方は扉の影、風を避けて膝を抱える。

鍵を手に入れたのが夏のこと。

はるかな昔、立ち入り禁止になった屋上に本校随一のチンピラがたむろしていると知り、ちょっとそこに乗り込んで、ちょっと痛い目を見てもらい、軽く謝って借りた。

以来、寄り付く雑魚を蹴散らして、孤高の狼を気取っている。

未だにここがチンピラの巣窟だと思っている教師陣は近付いてこない。

狐、虎の威を借る。ふむ、狼なのか狐なのか。

どちらにせよ、ぷるぷる震えて初の冬越えだ。

ここにはやる気のないフェンスと、端っこに突き出た扉以外に風を遮るものが無い。

当然、暖房器具もなくてとても寒い。

それでも他へ移る気がしないのは、たまに落ちている煙草の吸い殻のせいだった。

いつも同じ銘柄。

これ見よがしにチクショウと思いながら、土方は律儀に拾ってやっている。

ふと気付いて自分も吸い殻を残しておいてみたら、次に来た時には綺麗に片付いていて笑えた。

おもしろい。

その内、煙草の主に出くわすこともあるんじゃないかと期待していた。

ふざけた言い訳しやがったらぶちのめしてやる。

最近では報復目的の襲撃もめっきり減っていて。久しぶりに血を見れるかもなぁ、なんて物騒な。

ただ、土方は自分がここを離れた後、一人で落ちた吸い殻を探してうろうろ歩きまわるそいつを想像すると、きゅっと心臓が縮むみたいな悲しい気持ちになる。

それで、かじかんだ指でライターを擦っている。

 

そうして、初めて土方は高杉に会った。

 

扉が開いた瞬間、雪が降り出したようだった。

鼻先で溶けた冷たさを感じて、土方はうわ、と言った。

その声に振り返った侵入者の顔を、水滴ぬぐってまじまじと見た。

こいつか煙草の主は、と思った。

根拠はなくて、でもわかった。それが高杉だった。

屋上のにおいがした。

「よぉ。」

長い前髪の間から見下ろす片目。

ただその軽い挨拶に答えるのに、一拍置く。

「……よぉ。」

高杉は、そのまま当然のように隣にしゃがんで煙草を取り出した。

「さみぃな。」

くわえながら、ぼんやりした声で言う。

こんな凶悪なツラして、と土方は思った。寒ぃな、とか。

ぜんぜん似合わねぇ。得体の知れない笑いがこみあげてきた。

どんな報復されるかわかんねぇからとこらえようとしたのだけど、噛み締めた煙草の隙間からほんの少し洩れた。

「ん?」

こちらを向いた高杉の前髪が揺れて白い眼帯が見えた。

「あ、いや。べつに。」

片目だけのこの引力。

「悪いのか、目。」

んーだかふーんだか曖昧に答えて高杉は煙を吐き出した。雪の空がさらににぶる。

横目になんとなく見ていた土方にはそれがいやにやらしい光景にうつって、意味わかんねぇと思いながら目をそらした。

「答えたくないなら、いい。」

「あぁ。」

居心地悪く煙の行く先を追う。

急にぶるりと震えた肩で寒さを思い出し、わざわざこんなところでさぼらなくてもいいのにと自分を棚にあげた。

もう、戻ろうか。

どうやってこいつを刺激せずにここをぬけ出したものか算段を始める土方。

高杉はその内、煙草を屋上の床で揉み消して学ランの襟にずぶずぶ顔を沈めると、そのまま寝る体制に入った様だった。

吹く風にころころ動く灰を見て自分がここにいる理由を思い出す。

「なぁ、いっつもそれ落としてくの、お前?」

「あぁ。」

「……。」

他になんか言うことあるだろ。

土方は黙ってその吸殻を拾うと携帯灰皿に入れた。

そして同じように自分の吸っていたのを床で揉み消し、置いたまま立ち上がった。

「それじゃ、俺は戻るけど。」

反応が無い。寝てんのか。

こんなところで、死ぬんじゃないのか。

扉のノブに手をかけてしばらく迷う。

もし明日こいつが死んでいるのを見つけたらどうしよう。

もう、謎の吸い殻の主はわかったのに、土方は当然のように屋上に来る気でいる。

煙草みたいにつまみあげて灰皿に入れるのだったら楽なんだが、と考えながら扉を開けた。

「中、はいんねぇの。」

「その内な。」

返事は早かった。

「なんだ、起きてるのか。」

「そんな、すぐに寝れねぇよ。」

「たしかにな。」

階段を下りる音と遠ざかるかすかな笑い声、灰色の空。

そうたたない間にまた、顔を合わせるだろう二人。

きっと雪はすぐに止む。







・・・





つづく






・・・








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