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銀魂(土方受)二次創作中心に小説。BL・流血表現等あり。嫌悪感を抱かれる方にはUターンがお勧め。
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(銀・高・土(銀高))

またも久しぶりの更新です(・_・;)

銀さんと高杉の出会いです。






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「何、お前。」

「死体です。拾わないでください。」


 


                          The Intersection

 


いつだったか覚えていない、初めて坂田は高杉に会った。


高杉が、坂田が行き倒れていた所にふらっと立ち止ったのだった。


「何、お前。」


そこは高杉の住むアパートの前だった。


坂田は塀にもたれて座ったまま、目を開くこともできなかった。


そんな状態ながら何とか答えたらしい。


「ちっ。」


舌打ちとともに拾われた。


後で、なんで拾ったのか訊くと、面白そうだったからと笑われた。


坂田は絵描きだった。


かけらも売れない絵描きだった。


しかたがないので何でも屋のようなこともやっていたが、依頼が無ければ金も入らない。


ため込んだ家賃を背景に、大家は坂田を追いだした。


「仕事みつけてから帰ってきな!」


言われたままに町をうろついていたら動けなくなった。


空腹の限界だった。


もう何日も食べていなかった。


日ごろの行いが悪かった。


生きて帰ったら頑張って働いて、たまったツケを返してやろうと坂田は決心した。


でも片目の男の家でカップラーメンを食べている内に忘れた。


体も心もずばぬけて丈夫な性質だった。


「なんか、すんませんね。」


「別に、かまやしねぇよ。」


高杉は、坂田がふたつめのカップラーメンに手をだすのを楽しそうに見ていた。


「そんなんでいいならいくらでも。」


にやにや笑っていた。


気味の悪い男だ、とぼんやり思った。しかし人のことは言えない身分である。


「お兄さん、俺みてぇな奴けっこう拾ってくんの?」


「いや。」


マッチで煙草に火をつけた高杉が言う。


「これが初めてだ。そもそも俺はほとんど人をよばねぇ。」


お前が、初めて。


言葉とともに吐き出された煙が視界を白く染めていく。


「あぁ、そう。」


何か返事を、と言ったのはいやにしらじらしく響いた。


あばらの下辺りをぞろりと這っていく何かを感じて坂田は、今すぐこの場を逃げ出したい。どうしたらいい。


さらっと、さわやかに、違和感なくここを出るには。


根拠のない疑いを腹の中にいだきながら、表情を変えずにラーメンをすすっている。


こんなもん食ってる場合じゃなかったかもしれない。


こいつはおかしい人間なのかもしれない。


俺なんか拾ってくるくらいだし。


つらつらと考えていた。


「お前。」


高杉は唐突に口を開いた。


「な、何!?」


ラーメン吹くところだった。


「お前、名前は。」


「……。」


これは答えるべきか。答えるべきなのか?


箸の先をかちりかちり、合わせたり離したり。


片目の視線を意識しながらそれを見つめていた。


「言わなきゃダメ?」


ちらっと上目使いに見ると、高杉はずっと笑みを深めた。


それだけで坂田は、言わなければいけない気になった。


すぐに言わなければ、俺の名前を。


しかしそう思えば思うほどなんと言っていいのか分からなくなった。なんで。


自分の名前がわからなくなった。


かちかちかちかち。


黙って坂田は、箸の先を見つめている。


「お前、それ、絵具のにおいだよな。」


机に肘をついて高杉が言った。


「え?」


「絵、かいてんのか?」


そういうの、好きだぜ俺。


ふっとまた、室内が白くけぶった。


あぁ、そうだよと坂田は答えた。自然と名前を言っていた。


「坂田銀時だ。家賃滞納じゃぁ、けっこう名が通ってる。」


「ハッ。」


家賃滞納かァ。


「いいぜ、面白ぇ。気に入った。」


何がいいんだろう、と呆気にとられていると、高杉は声をあげて笑った。


「お前、しばらくここにいろよ」


「は?」


なんだって?


「食うにも困るくれぇなら、金ができるまでここに住めって。」


そんで、絵をかけよ。


趣味の悪い、毒々しいピンク色の蓮の形をした灰皿に押しつけられて、煙草がぐしりといった。


「悪くねぇ話だろ。」


「……。」


悪くはねぇ。そりゃぁ、俺としては大助かりだ、確かに。だけど、と言いかけた坂田を無視して。


「俺は高杉だ。高杉晋助。」


ぷらんと右手を差し出してよろしくと言う。唇の端を上げる。


それにつられるように坂田は、ついその手を取った。


ひやりと冷たかった。


その感触だけで、高杉がどんな悪者だろうと許せる気がした。


もう俺はこいつから離れられないんだと思った。


こいつが俺を切り捨てない限り。それか、どちらかが死ぬまで。


「……。」


舌打ちをひとつ。


離された手の、冷たさの名残を握りしめた。


 


 

 



 
 
 
 
つづく









高杉さん、誕生日おめでとうでした!
 
 
 
 
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